TikTok Shop（TikTokショップ）のGMV Maxは、EC事業者の売上を劇的に向上させるAI搭載の広告ソリューションです。従来の広告運用とは違い、オーガニック投稿からアフィリエイト投稿まで統合分析することができます。既にEC事業を展開している事業者にとって、新たな売上チャネルとしてTikTok Shopは大きな可能性を秘めています。
本記事では、GMV Maxの機能から具体的な活用方法、海外での成功事例まで詳しく解説します。TikTok Shopの戦略的運用により、ROIの最大化と競合優位性の確立を目指す事業者様に、実践的なノウハウをご紹介します。
TikTok Shop GMV Max広告システムの全体像と仕組み
TikTok Shop（TikTokショップ）のGMV Maxは、TikTokアプリ内で買い物ができるEC機能です。GMV（流通取引総額）を拡大できる革新的な広告ソリューションとして注目されています。広告の作成や配信、予算管理などあらゆる機能をAIが自動で管理します。
AIを活用した広告運用は他プラットフォームでも展開されています。Google広告の「P-MAX」、Meta広告の「Advantage+」と同様に、TikTok Shop版として位置づけられるのがGMV Maxです。
GMV Maxの最大の魅力は売上最大化に向けた自動最適化にあります。オーガニック投稿やアフィリエイト投稿、広告用クリエイティブの中からパフォーマンスの良いコンテンツを自動選択し、効果的に広告予算を配分します。そのため手動運用と比較し効率的な運用が可能です。
ブランド認知向上による「ハロー効果」は、マーケティング施策において重要な要素です。オーガニック投稿のいいね数や保存数が伸びたり、自社のECの訪問者数が伸びるなど複合的な効果が期待できます。TikTok Shop上での売上増とプラットフォーム横断でのブランド認知拡大を同時に実現できる点が最大の強みです。
TikTok Shopのそのほかの機能については以下の記事で詳しく解説しています。こちらもぜひご覧ください。
Product・LIVE GMV Maxの特徴と運用方法を解説
TikTok Shop GMV Maxは「Product GMV Max」と「LIVE GMV Max」の2つの機能で構成されています。それぞれ異なる販売シーンに特化した機能を持ち、EC事業者の売上最大化を実現します。
Product GMV Max機能の実力
Product GMV Maxは「カート付きショート動画」の広告配信を管理する機能です。「おすすめフィード」「ショップタブ」「検索結果」などで商品の表示頻度を最適化し、購買機会を最大化します。クリエイティブは「動画」「静止画」「商品カード」の3種類から選択でき、商品カードには商品詳細ページの情報が記載されます。
AIが動画コンテンツに対する視聴者の視聴導線を自動分析・学習し、目標ROI（投資対効果）に基づいて広告の配信・停止・予算調整を自動実行します。運用担当者の負担を大幅に軽減しながら、従来の手動運用では困難だった細かな最適化をリアルタイムで実施できます。
LIVE GMV Max運用のメリット
LIVE GMV Maxは「LIVE配信」の売上を最大化する専用機能です。LIVE配信中の「商品クリック」「コメント」「いいね」をリアルタイム分析し、購入可能性が最も高いユーザーを特定します。特定されたユーザーに対して優先的に配信を表示することで、LIVE配信という限られた時間内での売上最大化を実現します。ライブコマースの「リアルタイム性」と「双方向性」を活かしながら、AIの高度な分析力でユーザー行動を予測します。視聴者のエンゲージメント状況から購買意欲を判定し、最適なタイミングで商品訴求を行います。通常のライブ配信と比較して大幅な売上向上と高いROI実現が期待できます。
GMV Maxキャンペーン立ち上げ方法
キャンペーンの設定は非常にシンプルで、数ステップで完了できます。
セラーセンター左側のメニュー内「ショップ広告」から「GMV Max広告を作成する」と進みます。
①キャンペーンの詳細設定では、Product GMV Maxの場合は「商品をプロモートする」を選択し、LIVE GMV Maxの場合は「LIVEをプロモートする」を選択します。
②プロモートする商品については、全商品を対象にする場合は「すべての商品をプロモートする」を選択します。
③ROI目標設定が成功の鍵です。過去の広告キャンペーンを参考に現実的な数値を入力しましょう。設定値が高すぎると予算消化が進まず、低すぎると予算消化が進みすぎてしまいます。
ROIは一般的なROAS（広告費用対効果）と同じ計算で、売上 ÷ 投下広告費に基づいて算出されます。
④日次予算設定では適切な予算配分を行い、使用するクリエイティブは「自動選択」がデフォルト設定となっています。
⑤使用したくないクリエイティブがある場合には除外設定が可能です。自社でクリエイティブをコントロールしたい場合は手動選択も選択できます。
⑥TikTok Shopの公式キャンペーンとの連動設定も重要で、公式キャンペーン時はインプレッションと購入金額が伸びる傾向があるため、機能をオンにすることを推奨します。
⑦配信スケジュールを入れます。⑥の設定とは関係なく設定が可能です。
⑧任意のキャンペーン名を入れてください。
⑨「公開」を押して完了です。
売上が飛躍的に向上する4つの理由
TikTok Shop GMV Maxによって売上が拡大する理由を4つの視点から解説します。従来の広告運用では実現困難だった統合的なアプローチにより、劇的な成果向上を実現できます。
1. 全方位トラフィック解析と効果最大化
1つ目の理由は、ショップへのトラフィック全体の分析と最適化が可能である点です。AIがオーガニック投稿やアフィリエイト経由を含めた全体のトラフィックと売上を統合的に分析します。広告効果の最大化を図り、ユーザーの流入経路を包括的に管理できる点がGMV Maxの持つ大きな特徴です。
従来の運用体制では分業化が一般的でした。アカウント運用担当がオーガニック投稿の視聴者数・視聴者層・いいね数などを分析します。広告運用担当がCPA（顧客獲得単価）などの広告成果を分析するという形です。この体制には弊害があります。2部門間で異なるKPI設定による予算配分の非効率化が生じます。データやナレッジの共有不足、ブランドメッセージの一貫性欠如なども課題です。GMV Maxであればこういった問題は起きにくくなっています。
また、GMV Maxは、エンゲージメントの高いコンテンツをAIが自動判断して広告予算を配分します。エンゲージメントの高いオーガニック投稿やクリエイター投稿があった場合、自動で広告予算を配分し、さらなる売上アップを図れる仕組みです。
広告用クリエイティブのエンゲージメントが高いと判定されれば、今後のオーガニック投稿にこの学びを活用できます。
そのためにも、クリエイターコラボを積極的に実施してたくさんのクリエイティブを取得しておくことが大切です。
クリエイターの活用方法に関してはこちらの記事で詳しく説明しています。
2. 完全自動化による大幅コスト削減
2つ目の理由は、動画や配信コンテンツの設定、広告の出稿・停止・予算調整などすべてが自動化されている点です。人為的にこれらの作業を行うと運用負担が大きくなります。人的リソースを大幅に割かなければなりません。GMV MaxはTikTok Shop運用の簡素化とコスト削減に効果を発揮します。
商品のROI（投資対効果）と日次予算は推奨ROI・推奨予算という形で自動計算されます。商品の収益額や過去の広告費用などから算出される仕組みです。広告の配信スケジュールはカレンダー形式でわかりやすく設定できるため、複雑な設定作業を大幅に簡素化できる点が魅力です。
従来の広告運用では多岐にわたる作業が必要でした。GMV Maxの導入により、これらの煩雑な作業から解放され、より戦略的な業務に人的リソースを集中できるようになります。EC事業者にとって運用効率の大幅改善は競争優位性の確保につながります。
3. 高精度パーソナライズと購買導線強化
3つ目の理由は、ユーザーごとに最適な広告を届ける「パーソナライズ」と、購入までの流れをスムーズに導く「導線設計の最適化」が可能な点です。AIがユーザーの興味関心や行動履歴をリアルタイムで解析し、「おすすめフィード」「検索結果」「ショップタブ」などで、そのユーザーに最も効果的な広告を表示します。これにより、商品との自然な出会いの機会が増え、購入までの流れもスムーズにつながります。
TikTok Shopは、従来の「検索型」ECとは異なる「発見型」ECです。ユーザーが自ら商品を探すのではなく、動画やライブ配信を視聴する中で偶然目にした商品に興味を持つことで購買へとつながる仕組みです。TikTok Shopではユーザーの趣味・嗜好を分析し、潜在ニーズを持つユーザーに広告を見てもらうことが重要です。GMV Maxは、ユーザーの目に自然に広告を触れさせることで、購買意欲を無理なく引き出す力を備えています。
従来の広告とは異なり、個人の興味関心に基づいた精密なターゲティングが行われます。それにより、高い成約率を実現し、効率的な売上拡大を可能にします。
4. ROI目標達成のための自動最適化
最後の理由は、売上目標や費用対効果に応じて広告配信量が自動で最適化される点です。GMV Maxでは、AIが商品やLIVE配信ごとに目標値を設定し、その達成状況をリアルタイムで判断します。目標に達していない場合は、広告配信量を自動で抑制することで、無駄な予算消化を防ぎつつ、効率的な売上向上を実現します。
従来の広告運用では、日々のパフォーマンス確認と手動調整が必要でした。市場環境の変化や競合状況の変動に対して、迅速な対応が求められますが、人的な判断には限界があります。GMV Maxの自動最適化機能により、24時間365日継続的な最適化が可能となり、機会損失を最小限に抑えられます。
実証済み！海外ブランドの驚異的な成功事例
TikTok Shop GMV Maxの海外での成功例を2つご紹介します。いずれも驚異的な成果を上げており、GMV Maxの実力を証明する事例といえます。
Freshly Cosmetics（スペイン）2,159%売上増の秘密
Freshly Cosmeticsは、天然成分を使用した製品で人気を集めるスペイン発のコスメブランドです。Freshly CosmeticsはTikTok ShopにおいてGMV Maxを導入し、広告コストを抑えながら売上の大幅な拡大に成功しました。
GMV Maxの分析により、アフィリエイターによる動画コンテンツが売上に大きく寄与していることが判明。これを受けて、価格帯の異なる複数の商品をアフィリエイトコンテンツとして展開した結果、売上は2,159%増加、ROIは411%向上、1件あたりの注文コストは90%削減という、非常に高い成果を達成しました。これは、GMV Maxの優れた分析能力による成功例と言えます。
出典：TikTok for Business Success stories Freshly Cosmetics
Betterbrand（アメリカ）100万USD達成の戦略
Betterbrandは、米国を拠点とするヘルスケア・製薬企業です。BetterbrandはTikTok ShopにおいてGMV Maxを活用し、広告運用コストを抑えながら事業全体の売上拡大に成功しました。購入意欲の高いユーザーに対して、的確な広告配信が行われたことが成果の大きな要因です。
実際に、四半期で100万USDのGMVを達成し、そのうち80%以上が広告経由による売上でした。GMV Maxによるユーザーごとのパーソナライズ配信が、効率的な広告運用を可能にし、低コストで高い成果を生み出した代表的な成功事例です。
出典：TikTok for Business Success stories Betterbrand
ROI向上とGMV拡大の実践ノウハウ
GMV Maxは、ただAIに任せっきりにすればよいという機能ではありません。機能を活用してROIとGMVの改善・最大化を図るには、抑えるべきポイントがあります。
Product GMV Maxクリエイター連携でROI向上
Product GMV Maxの効果を最大限に引き出すためには、魅力的な動画クリエイティブの準備が不可欠です。しかし、社内リソースだけで対応するのが難しい企業も少なくありません。
そのような場合は、TikTokクリエイターとのコラボレーションを活用することで、効率的かつ効果的な動画制作が可能になります。
商品サンプルを提供し、オープンコラボやターゲットコラボを通じて複数のクリエイターに動画投稿を依頼することで、幅広いユーザー層へのアプローチが実現できます。
投稿された動画の中から売上に貢献したコンテンツを選定し、広告用クリエイティブとして再活用することも可能です。実際に、弊社が支援する企業の多くがクリエイター動画を活用した広告配信を行っており、既存のECチャネルと比較しても非常に高い費用対効果を達成しています。
クリエイターに依頼する際は、アカウントの投稿内容や世界観を確認し、自社ブランドとの世界観が一致しているか確認することが重要です。コラボレーションはフォロワー数1,000人以上から可能ですが、より高い影響力を期待する場合は、フォロワー数5,000人以上のクリエイターを選定することをおすすめします。
その他、クリエイターコラボについては以下の記事で詳しく解説しています。
LIVE GMV Max売上最大化テクニック
LIVE配信には「ライブショッピング広告」と「LIVE GMV Max」の2種類があります。
・ライブショッピング広告
ライブショッピング広告は目標CPM（インプレッション単価）やCPC（クリック単価）に基づいて課金される広告で、視聴者数やアクセス数を増やしたいときに効果的です。まだTikTok内での認知度が高くないセラーにおすすめします。
・LIVE GMV Max
LIVE GMV Maxは売上アップと広告のROI（費用対効果）向上を目的とした広告です。ある程度のフォロワーがいて、UGC（ユーザー生成コンテンツ）動画が多く投稿されているアカウントであれば、こちらがおすすめです。
LIVE GMV Maxを使う場合は、通常のライブショッピング広告の2〜3倍の予算を設定するのが効果的です。 また、過去のライブ配信の実績をもとに、現実的なROI目標を立てることも成功のポイントです。
さらに、この機能は、既にライブコマースである程度の売上（過去7日間で約1,000ドル以上のGMV）を収めているアカウントで最も効果を発揮するため、上述の通り、ある程度のフォロワーが出来て、売上も上がっている状態で使用するのがおすすめです。
GMV Max運用時の注意点
・広告アカウントは1つに限定
GMV Maxは、Seller Centerで指定した1つの広告アカウントのみで運用可能です。複数のチームや代理店が別々のアカウントで運用すると、データが分散してしまい、AIによる最適化の精度が下がる恐れがあります。
・既存広告は自動で一時停止される
GMV Maxキャンペーンを開始すると、対象商品のVideoショッピング広告やProductショッピング広告は自動的に一時停止されます。キャンペーン終了後も、これらの広告は自動では再開されないため、手動で再度有効化する必要があります。
まとめ：GMV Max活用で競合優位性を確立
今回は、TikTok Shopの広告ツール「GMV Max」について、基本的な仕組みや海外での成功事例、そして効果的な使い方をご紹介しました。GMV Maxは、オーガニック投稿と広告のアクセスをまとめて分析し、売上（GMV）を最大化するための仕組みです。AIによる高度な分析と自動化により、人手をかけずに効率よく広告運用ができるのが大きな魅力です。
ぜひ本記事を参考にGMV Maxを使いこなして、TikTok Shopでの売上規模拡大を目指しましょう。
